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2024/10/09
Development of Liver Fibrosis Represented by the Fibrosis-4 Index Is a Specific Risk Factor for Tubular Injury in Individuals with Type 2 Diabetes.
Hara T, Watanabe T, Yamagami H, Miyataka K, Yasui S, Asai T, Kaneko Y, Mitsui Y, Masuda S, Kurahashi K, Otoda T, Yuasa T, Kuroda A, Endo I, Honda S, Kondo A, Matsuhisa M, Aihara K. Biomedicines. 2024 Aug 7;12(8):1789.
【背景と目的】高血圧症と高血糖は、2型糖尿病患者においてアルブミン尿に代表される糸球体障害の重要なリスク因子である。一方、尿細管障害に特異的なリスク因子については、明らかでない。本研究では2型糖尿病患者における尿細管障害のリスク因子を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】徳島大学病院・阿南医療センターおよびその関連施設に通院中の2型糖尿病を有する成人1243名を対象に、通常診療として、尿中アルブミン/尿中クレアチニン比(uACR)および尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)/尿中クレアチニン比(uL-FABPCR)を測定し、その他臨床指標(高血圧症や脂質異常症・喫煙歴、糖尿病罹病年数、BMI、LDL-C、TG、HDL-C、クレアチニン、eGFR、尿酸、MASLD病態指標であるFIB-4 indexとHSI)を取得した。症例をuACR値とuL-FABPCR値により正常群(N群)・糸球体特異的障害群(G群)、尿細管特異的障害群(T群)、糸球体ならびに尿細管障害群(D群)の4群に分類した。各群間での臨床指標の比較および腎障害バイオマーカーと臨床指標の相関の有無につき統計学的検討を行った
【結果】多変量解析の結果、アルブミン尿増大(糸球体障害)特異的なリスクは、BMI・喫煙・高血圧症であった。L―FABP増大(尿細管障害)特異的なリスクは、CrとFIB-4 indexであった。また両障害の併発リスクは、BMI・HbA1c・高血圧症・糖尿病罹病期間であった。一方脂肪肝のサロゲートマーカーHISはいずれの腎症害にも関与していなかった。ROC解析にて、尿細管障害発症に寄与するFIB-4 indexは1.3であった。
【結論】2型糖尿病患者において肝臓線維化は尿細管障害の特異的なリスクであることが示唆された。このことから、尿細管障害を含むDKDの進展予防には、MASLDの進展予防にも考慮した包括的治療が必要であると考えられた。
(担当) 粟飯原賢一
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