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2023/11/29
JA徳島厚生連阿南医療センターで実施した臨床研究についての紹介です。
Dehydroepiandrosterone Sulfate, an Adrenal Androgen, Is Inversely Associated with Prevalence of Dynapenia in Male Individuals with Type 2 Diabetes
Metabolites. 2023 Nov 3;13(11):1129. doi: 10.3390/metabo13111129.
【背景と目的】 サルコペニアは四肢骨格筋量の低下に加え、身体機能の低下または筋力の低下が、ある場合に診断される。加齢に伴う筋力の低下を指すダイナペニアという概念が提唱されている。ダイナペニアとは四肢骨格筋量は低下していないが、筋力が低下した状態を指す。糖尿病患者では、非糖尿病患者と比較して、サルコペニアの割合は有意に高率となることが示されている。また、糖尿病患者ではダイナペニアも高率に認められ、2型糖尿病患者における偶発的な転倒や生命予後にダイナペニアが関与することが報告されている。Dehydroepiandrosterone sulfate(DHEAS)は副腎・性腺・一部末梢組織で生合成されるステロイドであり、日内変動も少なく、加齢と共に低下するホルモンである。したがってDHEASは抗加齢ホルモンとしての作用も期待されるが、2型糖尿病患者の骨格筋異常症における意義は明らかでない。そこで今回、DHEASと2型糖尿病患者の骨格筋異常症の相関について検証することを目的とした。
【方法】 2020年4月から2022年3月までの間に、JA徳島厚生連 阿南医療センター内科において、骨格筋検査(体組成評価・握力・5m歩行速度評価)を行った成人2型糖尿病男女361名(男性202名・女性159名)。検査結果により健常者(筋量正常・筋力正常)・プレサルコペニア(筋量減少・筋力正常)・サルコペニア(筋量減少・筋力低下)・ダイナペニア(筋量正常・筋力低下)の4群に分類した。性別・年齢・BMI・喫煙歴・収縮期血圧・血清脂質・HbA1c・尿酸・クレアチニン・血清DHEAS・高血圧症の有無・脂質異常症の有無・糖尿病罹病年数を臨床交絡因子として、各骨格筋異常症との関連を多変量解析で統計解析を行い、p<0.05を有意とした。
【結果】 対象患者の内訳は健常群233名、プレサルコペニア22名、サルコペニア37名、ダイナペニア69名であった。骨格筋係数(SMI)と歩行速度(GS)は、男性においてDHEASと正相関を示したが、女性では有意な相関を認めなかった。握力(HS)については、男女ともDHEASと正相関を示した。健常者を対象とした各骨格筋異常症のロジスティック解析では、DHEASはダイナペニア群の罹患と独立した負の相関を示したが、男女別に解析すると男性2型糖尿病患者でのみ有意であった。ROC解析による男性2型糖尿病患者のダイナペニア発症リスクを呈するDHEASカットオフ値は92μg/dLであった。
【結論】 DHEASは2型糖尿病男性患者のダイナペニア罹患率に独立した負の相関を有しており、DHEAS の2型糖尿病男性患者におけるダイナペニア罹患のカットオフ値は92μg/dLであった。以上のことから、DHEASが低値の男性2型糖尿病患者では積極的な運動療法による筋力維持が必要である事が示唆された。
(担当) 粟飯原 賢一
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