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2022/04/06
皮膚の自家蛍光で非侵襲的にAGEsを測定するAGE Readerは糖尿病血管合併症の評価にここ10年余りよく使用されていますが、今回その評価をまとめたメタアナリシスを紹介します。
Clinical Significance of Non-invasive Skin Autofluorescence Measurement in Patients with Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis
Hosseini MS, Razavi Z, Ehsani AH, Firooz A, Afazeli S.
EClinicalMedicine. 2021;42:101194. doi: 10.1016/j.eclinm.2021.101194
【背景と目的】終末糖化産物(Advanced glycation end products: AGEs)は、皮膚や軟骨・コラーゲンに沈着する半減期の長い物質で糖尿病の臓器障害を惹起する主要要素の1つである。AGEsの測定は、糖尿病性血管合併症の評価に有用とされる。非侵襲的終末糖化産物短時間測定器としてAGE readerを用いて計測されるSkin Autofluorescence (SAF) は、組織のAGEsの評価に有用な指標とされる。本稿では、糖尿病性関連合併症の評価におけるSAFの臨床的意義およびその信頼性について解析検証することを目的とした。
【方法】Systematic reviewとmeta-analysisのために、PubMedとCochraneのデータベースを使用した。Key wordは、"Diabetes", "Diabetes Mellitus"," DM", "Glycation ", "Advanced Glycation End product", "AGE", "skin autofluorescence", "SAF"を用いて、糖尿病患者を対象にSAFを測定した臨床研究を採用した。編集部論説・研究プロトコル報告・学会発表・症例報告・基礎的研究は除外した。Meta-analysisには、random-effect modelsを用いた。
【結果】 881 本の文献が検索され、そのうち29本の論文をsystematic review とmeta-analysisの対象に選定した。各研究間では、SAFと計測時のHbA1cに、有意な不均一性が認められた (I2=77.99%, p<0.05)。 それにも関わらず、SAF レベルと糖尿病性網膜症 (DR) [(OR= 1.05, 95% CI=1.03,1.08), (I2=63.78%, p<0.05)], 糖尿病性末梢神経障害 (DPN) [(OR= 1.11, 95%CI= 1.06,1.16), (I2=79.17%, p<0.05)], 糖尿病性神経障害 (DNP) [(OR= 1.08, 95%CI: 1.05,1.11), (I 2 =65.36%, p<0.05)], 糖尿病性大血管障害イベント (D-MVE) [(OR=1.08, 95%CI=1.05,1.11) (I2=67.32, p<0.05)]のいずれにも、有意な正の相関を認めた。
【結論】 SAFは、終末糖化産物を指標とした非侵襲的な糖尿病性血管合併症のマーカーとして有用である。SAF測定は、可逆的な糖尿病性血管合併症の早期発見に寄与する可能性がある。
(担当:粟飯原賢一)
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