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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/05/17

慢性B型肝炎の最新の話題

New Approaches to Chronic Hepatitis B,  N Engl J Med 2023;388:55-69.

[背景] 慢性B型肝炎はDNAウイルスであるHBV感染によって生じる。その病態は無症候性から、線維化による肝硬変、肝細胞癌と多岐にわたる。全世界で約3億人が感染しており、そのうち2.2億人が生活困窮者の多い国で占められている。十分な介入がなされないと2035年までに約100万人が死亡する。

 [HBVの特徴とライフサイクル] HBVは肝細胞に感染すると、安定した環状DNAを形成する(covalently closed circular DNA; cccDNA)。4つのORFからRNAが生成され、Pregenomic RNAから逆転写活性を持つDNAポリメラーゼにより(-)鎖DNAが生成され、カプシド内に内包、またはgenomic DNAにintegrateされる。Genomeを有さないHBs抗原や、肝細胞表面のPD-L1発現により、免疫はcoldの状態に保たれる。

[マーカー] HBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、HBV-DNA

[新たなマーカー] HBcr抗原、HBV-RNA

[既存の治療薬] 核酸アナログ(NA);DNA生成停止による新たなHBV生成を抑制。cccDNAやintegrated HBV geneは影響ないため、HBs抗原やHBc抗原には直接影響しない。休薬すると再燃。

IFN;Pregenomic RNAの転写活性、cccDNAの分解活性を有する。NAとの併用でHBs抗原消失が期待できるが低率(9%)。Drug freeを目指す若年の患者に治療を検討

[開発中の治療薬] Capsid Assembly Modulators、RNA interference(siRNA, Antisense oligonucleotides; ASOs)、Nucleic Acid Polymers、Entry Inhibitors.  cccDNAを標的とした治療は開発中➡根治は未達成

[課題] ワクチンは有効だが、検査治療などの啓蒙が不十分

(担当:河野 豊)

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