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2021/02/01
近年、様々ながんの治療に免疫チェックポイント阻害薬が使用されています。副作用としては、従来の抗がん剤とは全く異なる、免疫関連有害事象(irAE)が発生し、問題になっています。そのリスク因子は今までほとんど知られていませんでしたが、今回、大規模に研究され、発表されました(Nat Commun. 2020 Oct 2;11(1):4946. )。
FDAのシステムに登録された2014年から2019年6月までのirAEのデータと、公的機関に保存された患者サンプルの蛋白とmRNAの発現レベル、TCR diversityのデータを集めて検討されています。26のがん種の18,706名の患者から52,282のirAEのデータが解析されました。がん種間では、肺がんでirAEのリスクが最も高く( RR 3.29)、子宮体がんで最も低かった( RR 0.65)。irAEと相関のある因子としてCD8+ TcellとTCR diversityを組み合わせると比較的irAEと相関がありました(spearmanの相関係数Rs 0.75)。分子レベルで検討するとlymphocyte cytosolic protein 1(LCP1)とAdenosine diphosphate dependent glucokinase(ADPGK)を組み合わせるとかなりの相関がありました(spearmanの相関係数Rs 0.91)。
結論として、irAEの発症予測にはLCP1とADPGKという二つの因子を測定することによりirAEを発症しやすい患者さんをかなりの割合で事前に特定できるかもしれないということで、興味深い結果です。早期の臨床応用が期待されます。
(担当:中村信元)
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