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2022/11/02
慢性心不全患者の心筋viabilityがあればPCIによる虚血解除が臨床的に有効か否かについては、明確なエビデンスが乏しい状況でした。そこで本研究では、心筋viabilityのある慢性心不全患者におけるPCIの有効性について検討がされました。(N Engl J Med 2022; 387: 1351-60)
背景・目的:薬物療法(optimal medical therapy; OMT)やその他デバイス治療も含む心不全治療に加えてPCIを行うと,EFの低い虚血性心疾患患者の予後とEFをPCIしなかった場合と比較して改善できるか.
デザイン:前向き多施設ランダム化非盲検試験(イギリス40施設)
対象:LVEF≦35%,PCI適応,心筋生存能あり(心臓MRI,SPECT,PET,ドブタミン負荷心エコーで判断), 700例をPCI+OMT(PCI群),OMTのみ(OMT群)にランダム化.心エコー,QOLスコア(カンザスシティ心筋症質問票)をフォロー.
プライマリーアウトカム:24ヶ月までの全原因死亡 or 心不全入院の複合
セカンダリーアウトカム:左室駆出率(EF),QOLスコア,心臓関連死,急性心筋梗塞,緊急血行再建,大出血
結果: 合計700例が無作為化を受けた(PCI群347例、至適薬物療法群353例).追跡期間中央値41ヵ月において,プライマリーアウトカムは、PCI群129例(37.2%),OMT群134例(38.0%)だった(HR 0.99, CI 0.78~1.27, p=0.96).EFについても両群で同等で,6ヵ月時点の平均群間差は-1.6ポイント(95%CI:-3.7~0.5),12ヵ月時点は0.9ポイント(-1.7~3.4)だった.6ヵ月および12ヵ月時点のQOLスコアは,PCI群で高かったものの,24ヵ月時点で両群間の差は縮小していた.
結語:重度の冠動脈疾患がありEFが低いが心筋のViabilityが残存している患者では,OMTに加えてPCIを行っても,死亡率,心不全による入院率,EFの改善度,持続的なQOLの改善に差はない.
担当:谷 彰浩
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