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2022/10/26
COVID-19感染後、約10%程度の患者は、感染から4-12週後もなんらかの症状が再発・再燃するといわれ、long COVID, PASC( post-acute sequelae of COVID-19)などと呼ばれています。これらの症状は、倦怠感や息切れ、認知機能障害などをきたし、日常生活に影響します。通常、新型コロナウイルス罹患3ヶ月後から始まり、少なくとも2ヶ月持続するとされますが、その実態は十分には解明されていません。今回、大規模な疫学研究が行われました (Nat Med. 2022 ;28(8):1706-1714.)。2020年1月31日から2021年4月にthe Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) CPRD Aurumに登録された、RT-PCRまたは抗原検査陽性の486,149名の患者と非感染者1,944,580名と比較して検討されました。観察期間は平均0.29年でした。Long COVIDと関連していた症状は、嗅覚障害(aHR 6.49, 95% CI 5.02–8.39), 脱毛 (3.99, 3.63–4.39), くしゃみ (2.77, 1.40–5.50), 射精障害 (2.63, 1.61–4.28) 、性欲低下(2.36, 1.61–3.47)などで、long COVIDは女性 (aHR 1.52, 95% CI 1.48–1.56)が発症しやすいことがわかりました。驚くべきことに、long COVIDは症状に主に3群に分けられ(1)広い範囲の症状を伴う群(80%) (2) 呼吸器症状の群 (5.8%) (3)精神的および認知機能症状を伴う群 (14.2%)に大きく分けられることがわかりました。また、COVID-19の死亡リスクとは逆に、long COVIDの発症は若年になるに従ってリスクが増大していました。これらの検討では、はっきりとした単一のリスク因子では説明できず、若年女性を中心とした、免疫反応の関連が示唆されました。日常生活にも影響する疾患のため今後のさらなる検討が期待されます。
担当:中村信元
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