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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/01/18

post-COVID症候群が就労に与える影響

Post-acute sequelae of covid-19 six to 12 months after infection: population based study

BMJ 2022; 379 doi: https://doi.org/10.1136/bmj-2022-071050

 (Published 13 October 2022)

【目的】COVID-19の感染急性期から6~12ヶ月後の症状群に関して、症状とリスク因子を明らかにし、症状群と総合的な健康、就労能力の関連を明らかにする。

【方法】2020年10月から2021年3月の期間にSARS-CoV-2感染を南ドイツの4地域の保健当局に届け出られた成人(18歳から65歳)を対象集団とした横断研究を行った。50457人の患者が本研究に登録され、そのうち12053人(24%)が回答し、11710人[女性 58.8%(6881人)、年齢中央値 44.1歳、入院を要したCOVID-19患者 3.6%(412人/11602人)、追跡期間の中央値 8.5ヶ月]が解析された。主要アウトカムは症状の頻度(感染前と6~12ヶ月後の比較)、症状の重症度、類似性、リスク因子、総合的な健康の回復と就労能力との関連性とした。

【結果】症状群として、倦怠感(37.2%(4213人/11312人)、95%信頼区間 36.4-38.1%)と認知機能低下(31.3%(3561/11361)、95%信頼区間 30.5-32.2%)が最も健康の回復と就労能力を損なわせた。胸部症状、不安、抑うつ、頭痛、めまい、疼痛の症状も多く見られ、就労能力と関連が見られた。年齢と性別によりいくつか差が見られた。新しい症状により少なくとも中等度の日常生活能力低下や、健康の回復や就労能力が80%以下に低下していると考えると、post-COVID症候群は参加者間の28.5%(3289人/11536人、27.7-29.3%)と推定され、無回答者が完全に回復したと仮定しても、感染した成人集団の少なくとも6.5%(3289/50457人)が該当することになる。真の値はこれらの中間である可能性が高い。

【結論】回答率が低く、選択バイアスや思い出しバイアスの可能性の制限があるにもかかわらず、本研究では、軽症例の若年や中年の成人においても、post-COVID症候群と後遺症、特に倦怠感と認知機能低下が、SARS-CoV-2感染から6~12ヶ月後の総合的な健康や就労能力に対して実質的に影響を与えていることが示された。



担当 阿南医療センター内科 森 建介

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