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2024/01/31
Clinical implementation of partial oral treatment in infective endocarditis: the Danish POETry study
Eur Heart J. 2023 Dec 21;44(48):5095-5106.
【背景・目的】 POET試験では,状態が安定している左心系の感染性心内膜炎(IE)患者が,抗菌薬を経口投与に切り替える群(PO群),静脈内投与を継続する群(IV群)にランダム化され,治療6ヶ月後の非劣性が示された.本研究では,実臨床でのPOETレジメンを用いた経口切り替え療法の実施率,実現可能性,結果,安全性を評価する.
【方法】 2019年5月〜2020年12月までにS. aureus,E. faecalis,Streptococcus spp.,CNSによるIEと診断された患者は,医師の裁量により,経口切り替え療法の候補となった.抗菌薬治療を終えた患者のプライマリーアウトカムは,6ヶ月以内の症候性の塞栓症,予定外の心臓手術,菌血症の再発,全原因死亡の複合とした.
【結果】 562人のIE患者が候補者となった(年齢 74歳,男性 70%).PO群 240人(43%),IV群 322人(57%)であった.IV群では,黄色ブドウ球菌,心腔内膿瘍,ペースメーカー,外科治療を受けた患者が多かった.プライマリーアウトカムは,PO群 30人(13%),IV群 59人(18%)発生した(P=0.051).全原因死亡は,PO群 20人(8%),IV群 46人(14%)であった(P=0.024).PO群の入院期間は短かった(PO群 24日 vs IV群 43日,P<0.001).
【結論】 POETレジメンを用いたIE候補者の約半数が経口切り替え療法を受けた.IV群では,より深刻な危険因子を保有しており,転帰は不良であった.6か月の追跡調査で,PO群ではプライマリーアウトカム発生率の低下,全原因死亡率の低下,入院期間の短縮に関して,統計的に有意ではないが,数値的な差がみられた.研究の観察デザインにより,死亡率の低下は選択バイアスと測定されていないバイアスをある程度反映している可能性がある. POレジメンの臨床実施は実現可能かつ安全であると考えられた.
(担当) 阿南医療センター内科 谷彰浩
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