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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/03/15

2型糖尿病のセカンドチョイス薬剤は何か最適か?

2型糖尿病患者への治療のアルゴリズムがわが国でも方針が昨年示されましたが、メトホルミン治療に続くセカンドチョイスに関わる研究が発表されています。

Glycemia Reduction in Type 2 Diabetes - Microvascular and Cardiovascular Outcomes

GRADE Study Research Group

N Engl J Med. 2022 Sep 22;387(12):1075-1088.

【背景】2型糖尿病患者のメトホルミンへの追加療法として一般的に使用される薬剤の細小血管合併症や心血管合併症予防における効果比較についてのデータが十分にない。

【方法】メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者において治療目標をHbA1c 7.0%未満として、無作為に4種の血糖降下薬(インスリングラルギン U-100・グリメピリド・リラグルチド・シタグリプチン)を追加投与した。2次性評価項目として高血圧症の発症、脂質異常症の発症、中等症以上のアルブミン尿の出現、eGFR 60ml/min未満への低下、糖尿病性神経障害の発想 (Michigan Neuropathy Screening Instrument:MNSIで評価)、心血管イベント(MACE(非致死性心筋梗塞・脳卒中・心血管死)・心不全による入院・心血管イベントの悪化)の発症及び総死亡とした。

【結果】 5年間で5047人を追跡調査した。高血圧症や脂質異常症の発症と糖尿病性細小血管合併症(アルブミン尿(1.1)・腎障害 (2.9)・糖尿病性神経障害(16.7))の発症(平均イベント/100人年)に4グループ間での差異は見られなかった。MACE(1.0)・心不全による入院(0.4)・心血管死(0.3)・総死亡(0.6) (平均イベント/100人年)でも4グループ間で差異は見られなかった。全ての心血管イベントについては、グラルギン(1.9)・グリメピリド(1.9)・リラグルチド(1.4)・シタグリプチン(2.0) (各イベント/100人年)と有意差を認めた。全ての心血管イベントにおける単剤 vs 他3剤複合でのリスクは、グラルギン(1.1 (95% confidence interval [CI], 0.9 to 1.3))・グリメピリド(1.1(95% CI, 0.9 to 1.4))・リラグルチド(0.7 (95% CI, 0.6 to 0.9))・シタグリプチン(1.2(95% CI, 1.0 to 1.5))であった。

【結論】 メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者における追加治療ではインスリングラルギン U-100・グリメピリド・リラグルチド・シタグリプチンの4群において細小血管合併症や総死亡には有意な差はなかったが、リラグルチドは他3剤に比較して、心血管イベントリスク(心血管死を含む)を減少させる可能性がある。

本研究ではSGLT2阻害薬が検討されていないため、その位置付けや効果は不明ですが、GLP -1RA治療の優先順位は今後上がるものと思われます。

担当:粟飯原賢一

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