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2020/06/01
近年、腸内細菌叢の関連が話題になっていますが、造血幹細胞移植後の転帰との 関係が大規模に研究され、発表されました(N Engl J Med 2020;382:822-834.)。
4つの施設(ニューヨーク、ドイツ、米国のノースカロライナ州、北海道大学)が参加し、ニューヨークの施設はcohort1, それ以外の3施設はcohort2として検討されています。同種造血幹細胞移植を行った1362名の患者さんより、移植前から1週間毎に便を採取して、腸内細菌叢が解析されています。合計8767検体を解析し、死亡率やGVHD、原疾患の再発率との関連を検討されました。
全体として移植前に比べて移植後は腸内細菌の多様性が低下する傾向にありますが、いずれの施設群においても、生着期に腸内細菌の多様性がみられた患者さんは死亡率が低く、多様性が少なかった患者さんでは、移植関連死亡やGVHDが多かったとされています。しかし、原疾患の再発率と腸内細菌の多様性は関連がありませんでした。
結論として、特定の細菌の存在などではなく、腸内細菌全体としての多様性が、移植後の合併症の鍵を握る可能性が高いことが示されました。現在までは移植前の原疾患の病状や移植する患者細胞とのHLAの違いなどが主に議論されていたため、興味深い結果です。
(担当:中村)
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