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2024/02/28
Clonal Hematopoiesis of IndeterminatePotential (CHIP) and Incident Type 2 Diabetes Risk
Deirdre K. Tobias, et al Diabetes Care 2023;46:1978–1985
【背景】CHIP(Clonal haematopoiesis of indeterminate potential)とは、造血幹細胞における体細胞変異の加齢に伴う蓄積であり、クローン性増殖をもたらす。CHIPの存在はアテローム性冠動脈性心疾患(CHD)や全死亡に関与しているが、2型糖尿病(T2D)の発症との関連は不明である。われわれは、CHIPがT2Dのリスク上昇に関連するという仮説を立てた。
【目的】以前に同定されたCHDに関連した5つのCHIPに関し、T2D発症との関連を評価した。
【方法】CHIPは、National Heart, Lung, and Blood Institute Trans-Omics for Precision Medicine(TOPMed)前向きコホートにおける血液DNAの全ゲノム配列決定から得られた。T2D、心血管疾患、がんの既往のない6つのコホートから17,637人を対象に解析を行った。DNMT3A、TET2、ASXL1、JAK2、およびTP53変異との関連を含め、CHIPの有無とT2D発症との関連を評価した。年齢、性別、BMI、喫煙、アルコール、教育、自己申告による人種/民族、および固定効果メタ解析によるコホートの複合推定値で調整した多変量調整ハザード比(HR)および95%CIを推定した。
【結果】平均(SD)年齢は63.4(11.5)歳、76%が女性で、ベースライン時のCHIP有病率は6.0%であった(n=1,055)。平均9.8年の追跡期間中にT2Dと診断されたのはn=2,467人であった。CHIP有症者は無症者に比べT2Dリスクが23%(CI 1.04, 1.45)高かった。特に、TET2(HR 1.48、CI 1.05、2.08)およびASXL1(HR 1.76、CI 1.03、2.99)変異ではリスクが高かったが、DNMT3Aは有意ではなかった(HR 1.15、CI 0.93、1.43)。JAK2およびTP53解析の検出力には限界があった。
【結論】CHIPはT2D発症率の増加と関連していた。CHDおよび死亡率に関与する遺伝子上に位置するCHIP変異もT2Dと関連しており、加齢に関連した共通の病態を示唆していた。
(担当)JA徳島厚生連阿南医療センター 内科 村井純平
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