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2018/08/01
2型糖尿病治療において肥満の解消は一つの鍵となります。もちろん減量が進むような治療経過は食事療法や運動療法がうまくいっている場合が多いわけですから血糖コントロールは改善するのですが、脂肪組織の蓄積はそのものが糖尿病の悪化を招くことが多くの研究から明らかにされており、このことから減量が糖尿病の治療に繋がると考えられています。もちろん肥満は糖尿病を取り巻くたくさんの病気に関与しています。
現在糖尿病の治療薬が数多く上市されていますが、臨床的に意味のある体重減少を達成できる糖尿病治療法はほとんど見当たらないのが現状です。なかでもGLP1アナログは体重減少が期待される注射薬として広く治療に利用されるようになっていますが、このGLP1の受容体とグルカゴン受容体の両方に結合しうるデュアルアゴニストが新しい機序の治療薬として研究開発がなされています。同種のメカニズムによる複数の治療薬候補の治験がなされていますが、そのなかでMEDI0382という候補薬の最新のデータが報告されました(Lancet 2018; 391: 2607–18)。いくつかの試験デザインの結果が報告されていますが、3〜6週間の投与でプラセボ群と比較して有意に空腹時血糖値や混合食負荷後血糖値を低下させるともに体重も減少していました。消化管副作用は認めましたが既存のGLP1アナログ製剤の開発段階と同程度のようです。
インスリンに対するカウンターホルモンとして有名なグルカゴンの受容体アゴニストが糖尿病の治療薬となるのも興味深いところです。今後の研究開発が順調に進み、近い将来臨床の現場で使えるようになることを期待したいと思います。
(担当:湯浅智之)
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