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気になるメディカルトピックス・コラム

2021/11/17

ICU患者の期限制限による治療方針決定の効果

Evaluation of Time-Limited Trials Among Critically Ill Patients With Advanced Medical Illnesses and Reduction of Nonbeneficial ICU Treatments.

Chang DW, Neville TH, Parrish J, Ewing L, Rico C, Jara L, Sim D, Tseng CH, van Zyl C, Storms AD, Kamangar N, Liebler JM, Lee MM, Yee HF Jr.

JAMA Intern Med. 2021 Jun 1;181(6):786-794. doi: 10.1001/jamainternmed.2021.1000. PMID: 33843946

<背景・目的> Time-limited trial(TLT)は、予後が不透明で患者・家族の治療目標が不明瞭な重症患者において、積極的治療が意義をもつのかを判断するため期限を定めて治療の効果をはかるものである。TLTの効果を検証することを目的とした。

<方法> カリフォルニア州の公的3病院ICUで2017年1月1日から2019年12月31日の間に前向き質改善研究を行った。重症で不安定であるが基礎疾患や急性疾患の性質上回復の可能性が低い患者を対象とした。医療者への教育前後でICU滞在日数や死亡率、生命維持治療や侵襲的処置、家族会議、家族の治療満足度についての比較を行った。

<結果> 介入前期間113例(54.1%)、介入後期間96例(45.9%)の計209例を組み入れた。介入期間後には、患者のICU滞在期間 が8.7日から7.4日へ有意に短縮したが(p=0.02)、院内死亡率に変化はなかった(58.4% vs. 58.3%)。人工呼吸器など侵襲的処置は有意に減少した(85.8% vs. 72.9%)。形式に則った家族会議は介入前期間60.2%、介入期間後には95.8%まで増加した(p<0.001)。話し合いにおける重要な構成要素では、ICU治療のリスクベネフィットについての議論(34.9% vs. 94.9%)、患者の価値観・意向についての聞き取り(46.5% vs. 98.3%)、病状改善の臨床マーカーについての確認(20.9% vs. 88.1%)のいずれも介入期間に増加した。FS-ICUによる家族の満足度評価は介入前後で差がなかった。

<結論> TLTは、病院死亡率や家族の満足度は変えず、効果のないICU治療期間を短縮し、家族会議の回数が増え内容を改善させる効果があった。

担当:JA徳島厚生連阿南医療センター 内科 堀 太貴

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