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2022/01/19
糖尿病に特有の合併症である網膜症, 腎症, 神経障害の発症と進展の予防において、糖尿病治療(血糖値を低下させる治療)の効果は明確に証明されています。そのため食事療法や運動療法で不十分な場合に薬物療法を行うことになりますが、これまで糖尿病治療の細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)に対する予防効果は、どの薬剤を使用しても血糖値の低下の程度によって同一であると考えられてきました。
現在、日本ではその効果の確かさと安全性の高さからDPP4阻害薬が最も使用されていますが、最近は血糖値の低下作用を超えた治療効果を期待されてSGLT2阻害薬の使用機会が増えてきました。ただし両者を直接比較して合併症(腎症)に対する治療効果を評価するランダム化比較試験は実施されていません。
最近発表された論文(Diabetologia,64:2676-2686,2021)では、ネットワークアナリシスという統計の手法を用いてこれまでの様々なランダム化比較試験を統合し、直接比較できていなかった両者を比較することで、確かにSGLT2阻害薬がDPP4阻害薬より腎症の予防効果があることが示されました。無論、糖尿病といっても様々な病態があり画一的な治療を当てはめることはできませんが、本報告も含めて様々な手段で解析されても再現される血糖値の低下作用を超えたSGLT2阻害薬の腎症予防効果は、まさに糖尿病薬物治療のパラダイムシフトと言っても過言ではないと日々実感しています。
(担当:湯浅)
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