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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/02/22

急性腎障害患者における造影剤使用は禁忌か??

Renal outcomes following intravenous contrast administration in patients with acute kidney injury: a multi-site retrospective propensity-adjusted analysis

Intensive Care Med. 2023 Feb;49(2):205-215. doi: 10.1007/s00134-022-06966-w.Epub 2023 Jan 30.

【目的】急性腎不全(AKI)の患者において、造影剤(CM)静注と持続的な腎機能障害との関連を示すエビデンスは不足している。本研究は、AKIと診断された患者におけるCM静注とpersistent AKIとの関連を明らかにするために行われた。

【方法】2017年7月~2021年6月に3病院の救急外来受診時点でKidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)のAKI基準を満たす18歳以上の入院患者で,CM静注を受けた患者と受けなかった患者の,傾向重み付けとエントロピー平衡の後方観察コホート解析である。アウトカムは、退院時のpersistent AKI、180日以内の透析の開始などである。

【結果】解析対象は14,449人の患者であり、12.8%が集中治療室(ICU)に入院していた。CMは全患者の18.4%に投与された。AKIは69.1%で退院前に消失した。多変量ロジスティック回帰分析の結果、CM静注とpersistent AKIとの関連は認められなかった。多変量ロジスティック回帰モデリング(OR 1; 95%CI 0.89-1.11)、傾向重み付け(OR 0.93; 95%CI 0.83-1.05)、エントロピー平衡(OR 0.94 ; 95%CI 0.83-1.05)でも、CM静脈内投与とpersistent AKIとの関連は認められなかった。ICUに入院した患者を対象としたサブグループ解析でも、同様の結果が得られた。180日以内の透析導入は、コホートの5.4%に認められた。CM投与と180日以内の透析のリスク増加との関連は認められなかった。

【結論】AKIの患者において、造影剤投与は、退院時のpersistent AKI、180日以内の透析導入のいずれとも関連がなかった。CKD患者における造影剤静脈内投与に関する現在のコンセンサスは、AKI患者にも適用できる可能性がある。

担当:阿南医療センター内科 辻 誠士郎

 

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