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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/10/04

GERDと食道癌の関係

Non-erosive gastro-oesophageal reflux disease and incidence of oesophageal adenocarcinoma in three Nordic countries: population based cohort study     BMJ 2023;382:e076017

●概要:  胃食道逆流症(GERD)は、少なくとも週1回の頻度で胸やけや胃酸逆流、またはGERD関連合併症の症状を認める病態であり、食道腺がんの主な危険因子であるが、GERD患者の中には内視鏡検査で食道粘膜に異常な所見を認めない非びらん性胃食道逆流症(NERD)が60-70%の割合でみられる。これまでの研究では食道炎と食道腺がんの関連は十分に確立されているものの、NERD患者における食道腺がんの関連性は確実なものとはなっていない。本研究では、北欧3カ国においてGERDと診断された患者を長期に渡って追跡し、NERDが食道腺がんと関連するかどうかについての大規模かつ非選択的なコホート研究を行った。

●方法:  デンマーク、フィンランド、スウェーデンの病院および専門外来に入院中の全患者において、内視鏡検査を受けた成人(18歳以上)を対象にNERDコホートとびらん性GERDコホートに分類し1987年1月1日から2019年12月31日までの最長31年間の追跡調査を行った。この追跡期間中に観察された食道腺がんの発症率を、年齢、性別、暦年で分類した際に対応するデンマーク、フィンランド、スウェーデンの一般集団で標準化した罹患比を主要アウトカムとして評価した。

●結果:  NERD患者285,811人のうち、追跡期間中に食道腺がんを発症したのは228人であった。また、NERD患者における食道腺がんの発症率は11.0/10万人年であった。標準化罹患比は1.04(95%信頼区間 0.91-1.18)と一般集団と同程度であり、これは追跡期間が長期となっても増加することはなかった。一方で、びらん性GERD患者200,745人のうち、追跡期間中に食道腺がんを発症したのは542人、発症率は31.0/10万人年であり、標準化罹患比は2.36(2.17-2.57)と一般集団と比較して有意に増加しており、また追跡期間が長期となるほど増加傾向を示した。

担当:米田健一(阿南医療センター初期研修医)

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