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気になるメディカルトピックス・コラム

2021/11/24

膵癌発症のリスクファクター

膵癌は一般的に早期発見が難しく、症状やリスクファクターからの拾い上げに苦慮します。今回は膵癌のリスクファクターとして”膵臓脂肪症”の可能性を検討された報告をご紹介します。

Pancreatic steatosis on computed tomography is an early imaging feature of pre-diagnostic pancreatic cancer: A preliminary study inoverweight patients

Sanne A. Hoogenboom, et.al 

Pancreatology. 2021 Mar;21(2):428-433. doi: 10.1016/j.pan.2021.01.003. Epub 2021 Jan 16.

【背景】膵管腺癌(pancreatic ductal adenocarcinoma:PDAC)の罹患率は、高齢化や肥満・糖尿病の増加により上昇傾向である。PDACの生存率の低さを改善するためには早期発見が重要である。近年、PDACのリスク因子として、膵臓脂肪症が注目されている。本研究は、CT上の膵臓脂肪症がPDACと診断される前の患者において特徴的に認められるかどうかを検討することを目的とした。

【方法】研究デザインは後ろ向きの症例対照研究とし、2010~2016年にPDACと診断された患者を対象とした。年齢・性別・撮影日に基づき、症例とコントロール群は1:4の比率でマッチングされた。診断の1~3か月前に施行された単純CT画像を用い、盲検化された放射線科医によって膵臓脂肪症(膵臓・脾臓を比較したHounsfield Units<0.7)が評価された。

【結果】合計32名の症例群と117名の対照群が研究に参加し、BMIは同等であった(それぞれ29.6と29.2、p=0.723)。膵臓脂肪症は、症例群の71.9%、対照群の45.3%に認めた(オッズ比3.90、p=0.009)。BMIと糖尿病で調整を行っても、CT上の膵臓脂肪症はPDACの強い独立したリスク因子であった(調整オッズ比2.7、p=0.037)。

【結論】肥満患者において、CT上の膵臓脂肪症はPDACと独立して関連があり、その臨床診断を受ける3年前の時点で相関があった。この結果が確定的であれば、膵臓脂肪症はPDACの高リスク患者の特定や、既にPDACのスクリーニングを受けている患者におけるリスク層別化に使用できるかもしれない。

(担当:安井沙耶)

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