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気になるメディカルトピックス・コラム

2023/05/24

2型糖尿病と飲み物の関係

Beverage consumption and mortality among adults with type 2 diabetes: prospective cohort study

Le Ma, et al. BMJ 2023;381:e073406.

【背景】

一般成人において砂糖入り飲料(SSB)の摂取量が多いことは、全死因死亡、心血管疾患(CVD)発症率および死亡と関連している一方、人工甘味料入り飲料(ASB)、コーヒー、紅茶、淡水の摂取量は、全死因死亡と逆相関していたなどの報告があるが、個人の飲料摂取と 2 型糖尿病成人における CVD および死亡のリスクとの関連性はほとんど解明されていない。

【方法】

2型糖尿病診断後の個人の飲料摂取量、診断前後の個人の飲料摂取量の変化と、その後のCVDのリスクと2型糖尿病成人の死亡率との関連を前向きに調査した。1980~2018年のNurses’ Health Studyと1986~2018年のHealth Professionals Follow-Up Studyに参加し、ベースラインおよび追跡期間中に2型糖尿病の診断を受けていた男女1万5,486例を対象に、飲料別(SSB、ASB、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、淡水、低脂肪乳、全脂肪乳)の摂取と死亡およびCVDアウトカムの関連を調べた。飲料の摂取量は、食品摂取頻度に関する質問票を用いて評価し、2~4年ごとに更新した。主要アウトカムは全死因死亡とし、副次アウトカムはCVDの発症及び死亡とした。

【結果】

1万5,486人の2型糖尿病患者が含まれ、女性が73.6%を占めていた。平均年齢は61.3歳であった。SSBsの摂取量が多い参加者は、摂取量が少ない参加者と比較して若年であり、総エネルギーの消費が多い傾向があった。また、ASBsの摂取量が多い参加者は、糖尿病診断時のBMIが高かった。各種飲料摂取量の5分類中、最高量群の最低量群に対する死亡に関するHRは、SSBsでは1.20(95%CI:1.04~1.37)であった。一方で、コーヒーでは0.74(0.63~0.86)、紅茶 0.79(0.71~0.89)、淡水 0.77(0.70~0.85)、低脂肪乳 0.88(0.80~0.96)であった。同様の関連は、各種飲料摂取量とCVD発症・死亡との間にも認められた。2型糖尿病の診断後にコーヒーの摂取量が増えた人は、増えなかった人と比較して、全死因死亡は低いことが観察された。同様の関連性は、紅茶と低脂肪乳についてもみられた。SSBからASBへの変更で、全死因死亡やCVD死の有意な低下が認められた。SSB、ASB、フルーツジュース、全脂肪乳から、コーヒー、紅茶、淡水への変更でも、一貫して全死因死亡の低下が認められた。

【結論】

成人2型糖尿病患者におけるCVDおよび早期死亡のリスクを管理するうえで、飲料の健康的な選択は潜在的な役割を果たす。

(担当)阿南医療センター内科 河田沙紀

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