TOP > 気になるメディカルトピックス・コラム一覧 > 気になるメディカルトピックス・コラム詳細

気になるメディカルトピックス・コラム

2020/10/19

新型コロナウイルス感染症と降圧剤

【はじめに】 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV2は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を受容体として利用してヒト細胞に侵入し、感染は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進行する可能性があると報告されています。ARDSは急性肺損傷の最も重篤な形態であり、肺胞の炎症、肺炎、低酸素性の肺の状態を伴い、ARDS患者の50%で呼吸不全、多臓器不全、死亡に至ります。RAS系阻害薬と呼ばれる降圧剤(ACE阻害剤/ARB)はACE2の発現を増加させることが報告されており、COVID-19の発症や重症化における懸念がありました。RAS系阻害薬とCOVID-19に関する日本での研究結果が報告されました

【方法】 2020年2月1日~5月1日に、神奈川県内の医療機関に入院したCOVID-19患者151人を対象に調査されています。高血圧症の有無、そしてRAS系阻害薬の内服の有無で集団を分け、主要および副次転帰と「重度の肺炎」複合転帰に関連する要因が評価されています。

 【結果】 患者全体を対象とした単変量解析の結果は、高齢(65歳以上)、心血管疾患既往、糖尿病、高血圧症が酸素投与を必要とする"重症肺炎"と関連し、さらに、多変量解析の結果では、高齢(65歳以上)が"重症肺炎"と有意に関連していました。高血圧症患者を対象に解析を行った結果、RAS系阻害薬をCOVID-19の罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合、院内死亡、人工呼吸器使用、ICU入室の頻度が少ない傾向が示されました。また、RAS系阻害薬をCOVID-19の罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者と比較して、COVID-19に関連した意識障害が少ないことが判明しました。

 【まとめ】 RAS系阻害薬がCOVID-19の重症化を予防する可能性が示唆されました。また、大規模コホート研究ではRAS系阻害薬とCOVID-19発症には関連がないと報告されており、COVID-19を意識した降圧剤の変更は不要と考えられます。

(担当:山上 紘規)

2020年度のお知らせ

2018年度のお知らせ

2017年度のお知らせ

2016年度のお知らせ

2015年度のお知らせ