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気になるメディカルトピックス・コラム

2020/06/15

ビタミンDと呼吸器感染症

【はじめに】 世界はCOVID-19パンデミックの危機に瀕しており、感染と死亡のリスクを軽減できる公衆衛生対策が必要とされています。この論文では、呼吸器感染症のリスクを軽減するためのビタミンD(Vit D)の役割、インフルエンザとCOVID-19の疫学、Vit Dの補充がそれらのリスクを軽減する可能性について概説されています。

【Vit D】 Vit Dは感染症のリスクを軽減すると報告されています。その機序にウイルスの複製率を下げることができるカテリシジンとディフェンシンの誘導、肺の内壁を傷つけて肺炎を引き起こす炎症を引き起こす炎症性サイトカインの濃度を下げること、抗炎症性サイトカインの濃度を高めることが報告されています。多くの人が潜在的に25(OH)Vit Dが欠乏しており、特に冬季に25(OH)Vit D濃度が30 ng /mLを超えるには、Vit D補充が必要とされています。

【Vit Dとインフルエンザ】 Vit Dの補充がインフルエンザのリスクにどのように影響するかを調査したランダム化比較試験(RCT)の結果からはVit D補充により25(OH)D濃度を上げるとインフルエンザの発症リスクが低下することが示唆されています。

【Vit DとCOVID-19】 COVID-19感染は炎症誘発性サイトカインの産生の増加、CRP、肺炎、敗血症、ARDS、心不全と関連していることが報告されています。COVID-19のリスク軽減におけるVit Dの役割を支持する根拠として25(OH)Vit D濃度が最も低い冬である北半球に発生し感染拡大したこと、南半球での感染数が少ないこと、Vit D欠乏症が急性呼吸窮迫症候群の一因となることなどがあります。COVID-19に対するVit Dの有益な効果を示したものは、25(OH)Vit D濃度に関する疾患の発生率、有病率の観察研究によるものでした。しかし、ほとんどのRCTでは、Vit Dの補充が疾患のリスクを減少しませんでした。観察研究とRCTが一致しなかった理由は、25(OH)Vit D濃度が比較的高い参加者の登録、Vit Dの低用量使用、ベースラインの測定の是非、25(OH)Vit D濃度の達成率などが考えられました。

【結論】 COVID-19を含む感染症に対してVit D補充が有効である可能性があり、その証明のためにRCTや大規模集団研究が望まれます。Vit Dは魚類やキノコ類に多く含まれ、日光浴で体内での合成が促進されます。それらを日常生活に取り入れると呼吸器感染症予防につながるかもしれません。

(担当:山上紘規 )

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