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気になるメディカルトピックス・コラム

2020/09/14

期待されるSGLT2阻害薬の腎保護作用(vs DPP4阻害薬)

糖尿病患者さんの治療目標は、言うまでもなく糖尿病を患っていない方々と変わらない生活を営んでいただくことです。その目標を達成するために、長期間の血糖コントロールを行いさまざまな合併症の発症を防ぐことを治療の主な目的とします。そういった合併症の一つに糖尿病性腎症があります。糖尿病性腎症では、病初期には自覚症状を認めず長い時間をかけて次第に腎機能が低下し、ついには透析治療や腎移植が必要になってくると考えられています。

 このような事態に至ることがないように一にも二にも血糖コントロールに努める必要がありますが、最近SGLT2阻害薬を使用することにより血糖コントロールのレベルを超えて腎機能の悪化を抑制するという臨床研究の成果が相次いで報告されています。ただし、これまでの報告は臨床研究の特性上仕方の無いことですが特定の背景をもつ糖尿病患者さんに限った研究成果でしたので、はたして広く一般的な糖尿病患者さんにこのようなメリットが当てはまるのか不明でした。

 最近報告された論文(BMJ 2020;369:m1186)では、SGLT2阻害薬を内服していた糖尿病患者さんは他の糖尿病薬であるDPP4阻害薬を内服していた患者さんより約6割も重症の腎障害にいたる割合を減少することが報告されました。臨床研究の結果の解釈は一定の慎重さが求められますが、本研究の成果はこれまでの複数の臨床研究の結果と矛盾することなく、むしろSGLT2阻害薬の腎保護作用をさらに強調するものと考えられます。無論SGLT阻害薬に限らず治療薬にはメリットデメリットがありその適応を慎重に判断する必要があります。しかし、長期的な血糖コントロールの困難さと糖尿病性腎症に対する効果的な治療法がない現状において、SGLT2阻害薬の腎保護作用がたいへん心強いものであることは間違いないものと言えるでしょう。(担当:湯浅)



 

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