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気になるメディカルトピックス・コラム

2019/01/05

マイトファジーは内因性自然免疫応答に起因する糖尿病性腎症の進展を抑制する

自然免疫機構は体内で病原菌や異常な細胞を認識し、それらを殺滅することによって私たちの体を病気から守ってくれる強力な防衛機構です。ハエからヒトまですべての多細胞生物で保存されている病原体センサーは、細菌やウイルスなどの病原体の侵入を察知し、感染防御反応を誘導します。本来は異物に応じて炎症が誘導されますが、この病原体センサーが誤って代謝産物などの自己由来成分(内因性リガンド)に応答すると、自己免疫疾患、神経変性疾患、代謝内分泌疾患や循環器疾患の発症要因となります。

 NLRP3インフラマソームは、これら正負両面の性質をもつ代表的な自然免疫機構です。NLRP3インフラマソームは、病原体の感染によるオルガネラの損傷に応じて活性化して感染防御に働く一方で、尿酸塩結晶などの異物蓄積によるオルガネラの損傷に応じて活性化し、痛風などの炎症が関連する疾患の発症要因となります。とりわけ、ファゴソーム膜の損傷に応じて誘導されるミトコンドリアの損傷は、NLRP3インフラマソームを強力に活性化します(図1)。尿細管間質での炎症は、糖尿病性腎症(DN)の進行において重要な役割を果たし、NLRP3インフラマソームは、DNにおける尿細管間質での炎症に寄与します。

 マイトファジーとは、損傷ミトコンドリアを選択的に分解する品質管理システムであり、この機構によって、ミトコンドリア機能障害が関与する疾患から生体を防御していると考えられています。

 Optineurin(OPTN)はマイトファジーにおける最も重要な調節タンパク質です。今回、中国の研究グループが、DNでのNLRP3インフラマソームの活性化におけるOPTNの役割を調べ下記のことを報告しています(Chen et al. FASEB J. 2018 doi: 10.1096/fj.201801749RRR.)。

・DN患者の腎臓においてOPTNの発現は有意に低く、そして尿中のIL−1βおよびIL−18レベルと負の相関を示した(図2)。

・腎尿細管上皮細胞におけるOPTNがマイトファジーを増強することによってNLRP3インフラマソームの活性化を阻害する。

 オートファジーは自然免疫を介した炎症応答の制御における極めて重要なプレーヤーであり、今後は、オートファジーを介した損傷オルガネラ除去の分子メカニズムを解明し、オートファジー活性を亢進させる手法を開発することが求められています。OPTNがDN進行の遅延のための新しい内因性抗炎症標的となるかもしれません。(担当:乙田敏城)

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