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気になるメディカルトピックス・コラム

2018/09/08

血管障害におけるオートファジーの役割

 動脈硬化などで弱くなった大動脈に、こぶ状の膨らみができることがあります。これを、「大動脈瘤」と呼びます。大動脈瘤は、破裂すると突然死することもある恐ろしい病気です。最近では、高齢化社会に伴い、この大動脈瘤をもつ患者さんの数が、心筋梗塞の患者さんと同様に増えています。

 オートファジーは、真核生物における細胞内分解経路の一つです。

 機能しなくなった細胞内小器官や侵入してきた細菌・ウイルスを膜で包み込み、「オートファゴソーム」という小胞を形成します。オートファゴソームは、加水分解酵素をもった細胞小器官「リソソーム」と融合し、オートファゴソームの内容物は分解されます(図1)。これらの仕組みで分解された物質は再利用され、不要なものは小胞に包まれて細胞膜まで運ばれ、膜の融合で細胞外に捨てられます(エクソサイトーシス)。しかし、分解しきれなくなると、タンパク質の集積・凝集がおこり、細胞は最終的な解決手段として自殺します。

 オートファジー不全は、神経変性疾患、癌、心不全、糖尿病、炎症性腸疾患を含む様々なヒト疾患に関与しています。その様な中で、今回、アテローム性動脈硬化症や大動脈瘤といった血管障害における血管平滑筋細胞のオートファジーの役割について国内のグループから、興味深い研究発表がありました (Autophagy 2018 Aug 10: 1-16. doi: 10.1080/15548627.2018.1501132)。

 血管平滑筋細胞におけるオートファジー機能不全は、細胞死や細胞老化を介して、血管障害である動脈硬化のみならず、大動脈瘤の形成を促進することがわかりました(図2)。

 近年、動脈硬化や大動脈瘤など血管障害に対する予防・治療は、著しく進歩していますが、それらを完全に抑制することができていません。血管平滑筋細胞のオートファジー機能亢進が、血管障害の新規治療戦略となることが期待されます。

(担当:乙田敏城)

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