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気になるメディカルトピックス・コラム

2017/12/05

糖尿病性腎臓病の進展を予測するバイオマーカー

近年、糖尿病性腎臓病(DKD: Diabetic Kidney Disease)という言葉が使われるようになってきました。その背景として、初期の糸球体過剰濾過から、微量アルブミン尿、顕性蛋白尿を経てネフローゼとなり、進行性に腎機能が低下して末期腎不全に至るという、典型的な糖尿病性腎症の患者のみならず、糖尿病でありながら蛋白尿の顕著な増加を伴わずに腎機能が低下していく症例が増加していることがあげられます(Afkarian M, et al. JAMA 316: 602-610, 2016)(表)。特に、高齢化が進むなかで、腎硬化症との判別は困難を伴うことも多いです。このような背景のもと、米国腎臓財団(National Kidney Foundation;NKF)のKidney Disease Outcomes Quality Initiative (KDOQI)が、古典的な糖尿病腎症を含めたもっと広い概念で、糖尿病でありつつ腎機能が低下している人たちを捉えようということで、DKDという概念を提唱しました(Tuttle KR, et al. Diabetes care 37: 2864-2863, 2014)。

 

DKDは、多くの因子(高血糖、高血圧、脂質異常、喫煙、アルブミン尿など)が複雑に絡み進展する多因子症候群です。また、病態生理的には、 代謝(PKC活性化、ポリオール経路、AGEs、RAGE)、血行力学的経路(糸球体内高血圧)、炎症などが重要と考えられています。このようなDKDの病態に基づき進展に関与するさまざまなバイオマーカーが評価されてきましたが、進展予測に関しては、推算糸球体濾過量(eGFR)やアルブミン尿を凌駕するマーカーは、これまで確立されていませんでした。

 

今回、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のCocaらが、早期DKD(ACCORD試験)および進行したDKD(VA-NEPHRON-D試験)の2つの臨床試験のDKD患者の血漿TNF受容体(TNFR)1,2濃度を測定し、eGFR減少との相関解析を行いました。その結果、DKDの病期にかかわらず、血漿TNFR1,2濃度がDKDの進展を予測するバイオマーカーとして非常に有用であることがわかりました(Coca SG, et al. J Am Soc Nephrol 28: 2786-2793, 2017)(図、表)。

 

DKD診療においては、進展リスクの高い患者を早期に効率的に発見し、より積極的な治療を行うことが重要であり、TNFRのさらなる検証が待たれます。 (担当:乙田敏城)

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