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気になるメディカルトピックス・コラム

2017/11/06

糖尿病の発症予防の効果はどれくらいか?

糖尿病という病気を考えるとき、さまざまな切り口あるかと思います。その一つはどのようなヒトが糖尿病を発症し、それをどれほど予防することはできるのか、というテーマです。遺伝や生活習慣が発症に関わることはよく知られたことですが、本当の意味での発症予測というのは大変難しいのが現状です。

 

 DPP (Diabetes Prevention Program) Studyという有名な臨床研究があります。これは2002年に発表された有名な研究なのですが、この中で、糖尿病発症の前段階である境界型糖尿病の方にいくつかの生活習慣の改善を指導すると糖尿病の発症が半分程度に抑制されることが証明されました。まさに生活習慣病の名に恥じない結果として大変注目された研究成果です。この研究で集められたデータを用いて境界型糖尿病のどのような因子が糖尿病への進展および治療効果を予測することができるかが調べられました(Diabetes Care. 2017 Oct 11)。予測式は難しい数式となっています。興味深いことに生活習慣改善と、別の介入群である抗糖尿病薬内服(メオトホルミン)の抑制効果の予測式では採用された因子が異なる中で、空腹時血糖値と中性脂肪値は共通する因子でした。

 

 予測式を用いると40歳男性、BMI27、空腹時血糖値99mg/dl、中性脂肪値67mg/dlでは、3年で8%の方が糖尿病を発症することになり、一方でBMI41、空腹時血糖値115mg/dl、中性脂肪値245mg/dlでは45%の方が糖尿病を発症すると予測されます。また、予測式からリスクの程度を層別化してみてみると、リスクが低い群では、生活習慣の改善で糖尿病への進展は8%抑制できる一方で、抗糖尿病薬では全く抑制できない結果となりました。また、リスクが高い群では、生活習慣の改善で糖尿病への進展を39%抑制し、血糖値の正常化を24%増やすとの結果となりました。将来的には予測式がインターネット上で公開される予定のようです。

 

 DPP Studyの結果からは当然なのですが、リスクの程度によりその効果に差はあるものの生活習慣の改善は目覚しい治療効果が示されました。生活習慣の改善の成功の是非は、5%の減量を達成し6ヶ月後も維持できていることで判断されました。本研究の成果が日本人にも当てはまるかどうかは不明なのですが、健診などで肥満と境界型糖尿病を指摘された方は、まず5%の減量に取り組まれてはいかがでしょうか?

(担当:湯浅)

 

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