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気になるメディカルトピックス・コラム

2017/09/22

SGLT2阻害薬の腎保護効果への期待

SGLT2阻害薬とは、腎臓の近位尿細管に発現するSGLT2 (ナトリウム・グルコース共役輸送体2)を阻害して、尿糖を増やして血糖を下げる経口血糖降下薬です。2015年、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジン(empagliflozin)が、心血管ハイリスクの糖尿病患者の死亡を4割も減少させたというEMPA-REG outcome試験 (N Engl J Med 2015;373:2117-2128)が発表され、世界が驚かされました。

 EMPA-REG outcome試験では、腎臓に対するエンパグリフロジンの治療効果も発表されました。その結果、腎症の発症・悪化率は38%減少、血清クレアチニンの倍加は44%減少、透析導入は55%の減少、といったようにエンパグリフロジンは、腎保護作用においても、画期的な役割を果たす薬剤であるということも証明されています (N Engl J Med 2016; 375: 323-334)。

 EMPA-REG outcome試験は、そもそも血糖値を下げることを目的とした研究ではなく、実薬群とプラセボ群での血糖値の差はなるべくつけないようにした条件で行った臨床試験であったため、実薬群とプラセボ群での血糖値の推移の差も極わずかでした。エンパグリフロジン投与群でもHbA1cは0.2%しか下がっていません。この心腎保護作用は、単なる血糖値の低下だけでは到底説明することができません。

 今回、糖尿病を有するヒトの腎臓でSGLT2の発現が増加していることに着目し(図1)、糖尿病モデルマウスを用いたSGLT2阻害薬の投与実験にて、腎症の進行抑制におけるSGLT2阻害薬の新規効果(糸球体上皮細胞の喪失、細胞外マトリックスタンパク質蓄積、脂質蓄積、および炎症の抑制)が示されました (J. Biol. Chem. 2017; 292: 5335-5348)。

 糖尿病性腎症は透析導入となる原因として最も多く、その予防は国民の健康増進のために極めて重要な課題です。今後、SGLT2阻害薬を用いた糖尿病の治療により糖尿病性腎症の進行を抑制し、透析導入の減少や健康寿命の維持・延長につながると期待されます。(担当:乙田敏城)

 

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