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気になるメディカルトピックス・コラム

2017/01/31

不老不死が実現する?

 太古の時代から不老不死は人間の欲の一つであり、中国の故事には不老不死の薬を日本まで探しにきたという物語があります。不老不死が私たちに本当の幸福をもたらすのか、という問いには哲学的な要素を加えた思考が必要ですが、病や死から免れることが医療の目的とするならば、その究極の姿なのかもしれません。

 不老不死とは言わないまでも「アンチエイジング」の言葉に心踊らされる人は多いのではないでしょうか。最近、このアンチエイジングに効果があると期待される物質が注目されています。NMN(ニコチンモノヌクレオチド)と呼ばれる小さな物質です。これは、細胞の中の様々な反応に大切な働きをするNADの前駆物質で、長寿遺伝子として有名なサーチュイン遺伝子(NHKの番組でも取り上げられました)の働きにも重要な役割を果たします。このNNMは様々なモデルマウスの病態を改善することが知られており、例えばインスリン分泌を回復させることも報告されています。最近では、病気ではない通常のマウスにおいてもNMNを投与することにより、加齢に伴う体重増加を抑制し、インスリン感受性と視機能を回復することが報告されました(Cell metabolism 24, 795-806, December 13, 2016 )。まさにアンチエイジングに効果があることが示されたわけです。酵母や線虫といった小さな生物では寿命が伸びることも知られています。

 ヒトでは、加齢と共に体の中の様々な臓器でNADが減少することが知られており、このNMNを補充することによりアンチエイジングな作用が発揮されるのではと期待されています。NMNは身近な枝豆やブロッコリー、きゅうり、トマトにも含まれていますが、お薬としての可能性も考えられています。実際にこの分野を代表する今井眞一郎米国ワシントン大学教授と慶應義塾大学との共同研究によるヒトを対象とした臨床研究が開始されています。このニュースは新聞でも大きく取り上げられました。まずは、ヒトに害がないことを確認するところから臨床研究ははじまりますが、多くの人が今後の研究の進展に期待しているのではと思います。

担当:湯浅

 

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