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気になるメディカルトピックス・コラム

2016/10/07

次の糖尿病新薬は?

糖尿病の治療薬は、経口薬としてスルホニルウレア(SU)薬、グリニド薬、DPP-4阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬の3系統7種類が使用できます。注射薬ではインスリンとGLP1アナログ剤があり、それぞれの薬剤に効果を発揮する期間が異なるなどの特徴を有する数種の製剤があります。2種の薬剤を組み合わせた合剤が開発され、多剤併用療法も可能でありその組み合わせは膨大なものとなります。近年これほど次々と新たな治療薬が誕生している疾患領域もないのではないかと思われます。

 さらに最近、新たな糖尿病の治療薬として期待されているのがFGF21です。これはある種のタンパク質の仲間の一つなのですが、実験マウスを使った研究ではアディポネクチンを介した作用により肥満や脂質異常症、そして糖尿病にも効果があることが示されています。そこで、世界の名だたる製薬会社がFGF21を使ってこれらの病気を包括的に治療できる薬の開発に取り組んでいます。米国のPfizer社がFGF21のアナログ製剤を開発しマウスを対象とした動物実験で効果を確認してから、今年になりヒトを対象とした臨床研究(Phase1b)の成果を論文発表しました(Cell Metabolism 23, 427-440, 2016)。結果ですが、肥満2型糖尿病患者において5%程度の体重減少を認め、脂質代謝が改善するなどの効果が確認されました。ここまではこれまでの基礎研究と同様の目覚しい効果なのですが、残念ながら明確な血糖値の低下は認めず糖尿病を改善するには至らなかったようです。

 創薬の難しさをひしひしと感じさせる報告でした。これまで患者さんや医療者の手元に新たな糖尿病治療薬が届くたびに血糖コントロールは改善しているように思いますが、糖尿病の根治的治療を成し得ていないのもまた事実です。多面的な基礎研究の継続と創薬研究のさらなる発展を願って止みません。  (担当:湯浅)

 

 

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